時間は少し巻き戻ります。
「後は焼きあがるのを待つだけだから、その間に次のを作り始めよっと」
大豆のクッキーをオーブンに入れちゃったら、後は焼きあがるまで何にもする事無いでしょ?
だからその間に次のお菓子を作っちゃおうって思うんだ。
「お母さん、ちょっと作業するお部屋に行ってくるね」
「えっ? ええ、いいけど、何か作りに行くの?」
作業部屋って、?区がいっつも魔道具とかを作ってるお部屋でしょ?
だからそこに行ってくるって聞いて、お母さんはなんか作ってくるのかな? って思ったみたい。
でもね、ちょっと違うんだなぁ。
「ううん、次に作るお菓子の材料があそこにあるから取ってくるの」
「お菓子の材料が、あそこにあるの?」
お母さんは不思議そうなお顔でそんな風に聞いてきたんだけど、次に作るお菓子の材料は他のものを作るのにも使うから台所じゃなくって作業部屋に置いてあるんだ。
「うん。あのね、次のお菓子はねばねばの草からとった粉を使うんだ」
「ああ、なるほど。あの粉を使うのね」
お尻をふく紙を作る時って、最初は草からねばねばする草を使って作ってたでしょ?
でもその後で調べたら、そのねばねばはでんぷんってのからできてて、それ葉っぱよりも根っこの方にいっぱい入ってる事が解ったんだよね。
だから今は草じゃなくって、根っこから抽出した真っ白な粉をお水で溶いて使ってるんだ。
「うん。僕、帰ってきたらすぐにおトイレの紙を作れるようにって、イーノックカウに行く前にあの粉を作っといたんだ。だからそれを取りに行こうって思ったんだよ」
「ああ、だからあんなにいっぱいあったのね。でも、その粉なら今、この台所にあるわよ」
「え〜、なんで?」
おトイレの紙を作るために作っといた粉だから、作業部屋に置いてあったはずなんだよ?
なのにお母さんは、ここにあるよって言うんだもん。
だから僕、びっくりして何で? って聞いたんだ。
そしたらね、スティナちゃんがつべたいお菓子が食べたいって言ったから、僕がいない時にあの粉でお菓子を作ってあげたんだって。
「そっか、僕がいない間にわらび餅を作ったんだね」
「ええ。スティナちゃん、おいしいおいしいって食べてたわよ」
そう言えばわらび餅、前にお母さんと一緒に作った事あったっけ。
あれを作ってあげたから、ここにでんぷんの粉があるんだねって僕は納得したんだけど、
「え〜、私、そのお菓子知らないよ。お母さんたちだけないしょで食べたなんてずるい!」
そのお話を聞いて、キャリーナ姉ちゃんが私は食べてないって怒り出しちゃったんだよね。
でもそんなお姉ちゃんに、レーア姉ちゃんはこう言ったんだよ。
「大丈夫よ、キャリーナ。ルディーンはその粉を取りに行こうとしてたでしょ? という事は、そのお菓子を作るつもりだったって事ですもの」
「そっか! ルディーン。次はそのお菓子を作るんだね。あっ、でもそのお菓子、大豆ってのを使わないんだよね?」
レーア姉ちゃんはね、僕がさっきでんぷんの粉を取りに行くつもりだって言ってたから、きっと今お母さんとお話してたわらび餅を作るんだよって思ったみたい。
だからだから次に作るのはきっとわらび餅だよって言ったんだけど、それを聞いたキャリーナ姉ちゃんは、わらび餅には大豆を使わないんじゃないの? って頭をこてんって倒しながら聞いてきたんだよね。
「うん。わらび餅を作るのに、大豆の粉はいらないよ。でも、大豆の粉にお砂糖を混ぜてかけたら、すっごくおいしくなるんだ」
「そっか。だからそのわらびもちってのを作るんだね」
僕が大豆の粉をかけてもおいしいんだよって教えてあげたもんだから、キャリーナ姉ちゃんはお母さんに早くわらび餅を作ろうよって言ったんだよ?
でも僕、ほんとは別のお菓子を作ろうって思ってたんだけどなぁ。
キャリーナ姉ちゃんを見ながらそんな事考えてたらね、そんな僕を見たお母さんがもし貸してわらび餅を作るんじゃないの? って。
「そんな顔をしてるって事は、もしかして別のお菓子を作ろうと思ってたのかしら?」
「そうなの? ルディーン」
「うん。でもね、今日はちょっと暑いからわらび餅の方がいいかも?」
僕が考えてたのって、あったかいお菓子なんだ。
それにね、わらび餅とおんなじように大豆の粉とお砂糖を混ぜてかけて食べようって思ってたお菓子だから、別に今は作んなくってもいいかな? なんて思ったんだよね。
「あら、じゃあまた別の、新しいお菓子なのね?」
「ねぇ、お母さん。そのわらびもちってのはお母さんも作れるんでしょ? だったらさ、そのわらび餅ってのはお母さんが作って、その間にルディーンが新しいお菓子を作ればいいと思うよ」
でもね、新しいお菓子って聞いて、お母さんもキャリーナ姉ちゃんも食べたいって思っちゃったみたいなんだ。
だからわらび餅はお母さんが作るから、その間に新しいお菓子を作ればいいじゃないかってキャリーナ姉ちゃんは言うんだよね。
「だめだよ。だって僕、一人で火を使っちゃダメだもん」
「という事は、新しいお菓子というのはわらび餅と同じで火を使うお菓子なのね?」
「うん。それに僕んち、かまどが一個しかないでしょ? だからわらび餅と一緒には作れないんだ」
イーノックカウのお家だったら魔道コンロがいっぱいあるけど、僕んちは一個しか火をたくとこが無いもん。
だから二つのお菓子をいっぺんに作る事、できないんだよね。
「そっか。じゃあ、ルディーン。その新しいお菓子っての、作って」
「でも、わらび餅の方がつべたいから、今日食べるんだったらそっちの方がいいんじゃないかな?」
「つべたいのかぁ。でも、わらびもちってのはお母さんも作れるんでしょ? だったらいつでも食べられそうだもん。だから新しいお菓子の方がいいかなぁって思うよ」
さっきお母さんが、僕がイーノックカウに行ってる時にわらび餅をスティナちゃんに作ってあげたって言ってたでしょ?
だからわらび餅だったらいつでも食べられるけど、新しいお菓子はお母さんが作り方を知らないから今作んないと何時食べられるか解んないもん。
それならわらび餅よりも新しいお菓子の方がいいって、キャリーナ姉ちゃんは思ったんだってさ。
「そっか。じゃあ、新しいお菓子、作るね」
「うん。でも、お母さん。わらびもちってのも、今度作ってね」
「ええ、解っているわ」
と言う訳で、わらび餅はまた今度、
今日は初めに作ろうと思ってた、今まで作った事のないお菓子を作る事になったんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
う〜ん、お菓子作りまで行けなかったか。
というのも、本編でも書かれている通り、このお菓子に使う片栗粉は別のお菓子の材料として出てきているんですよね。
そしてそのお菓子も大豆の粉、すなわちきな粉をかけて食べたらおいしい訳で。
ならそれに触れないのはおかしいだろうと思った結果、それだけで一話終わってしまったと言う訳です。
前々から何度も言ってるけど、ほんと私は話をまとめるのが下手だなぁ。文才、どこかに落ちていないだろうか?